読書感想記「プロ野球チームの社員」

沿って | 2021年6月13日

元西武ライオンズ・プリンスの著書

この本は、先日メットライフドームの野球観戦の時に、グッズショップで見つけたものです。元西武ライオンズのドラフト1位選手で、現在は株式会社西武ライオンズ社員として勤務しておられる高木大成さんの著書です。

高木大成さんは、1995年にドラフト1位で西武ライオンズに入団して、同球団の中軸選手として活躍します。この本の中でも述べられていますが、必ずしも頑強な身体だったわけではなく、故障にも苦しんだようで、2005年に現役を引退されます。

彼ほどの実績があるならば(そしてドラフト1位入団ならば)コーチなど指導者の道もあり得たのかもしれませんが、球団から打診を受けてライオンズ球団の球団職員になりました。そんな高木大成さんが、球団職員の内情を教えてくれる本です。

プロ野球球団職員の仕事とは?

高木大成さんは、社員として、営業や現職である中継映像の作成・販売、はたまた系列のプリンスホテルへの出向など、様々な仕事をされています。特に興味深かったのは、チーム優勝時のビールかけの箇所で、僅か20〜30分のイベントに場所の確保(しかも全国、いつ優勝が決まるかわからない)やリハーサルなど、入念な下準備が必要ということがわかります。華やかなプロ野球の裏には、本当にいろいろな職種と人々が携わっていることを示してくれています。

プロ野球の危機と構造改革

今は、どの球団も「ボールパーク構想」として、野球場全体をテーマパークのようにしています。野球観戦だけを楽しませるのではなく、大人から子どもまで楽しむことができる付加価値をつけようというものです。この本ではパ・リーグ全体が経営危機に陥った経験を踏まえて、そうしたボールパーク構想を西武ライオンズがどのように進めていったのか、また高木大成さんがどのように関わっていったのか、当事者の目線で詳しく書かれています。顧客満足という考え方は、これまでプロスポーツで軽視されがちでしたが、今では親会社に依存することなく、独力で収益をあげようとする経営努力が求められているようです。

高木大成さんは、将来的には球団のトップや経営陣になるのですかね。やっぱり桐蔭学園、慶應義塾大学という学歴も光りますしね。西武ライオンズのファンとして興味深い情報もたくさんありましたし、プロ野球経営という観点からも、面白い本でした。