読書感想記「オトナの私が慶應通信で学んでわかった、自分を尊ぶ生き方 」

沿って | 2021年6月20日

この本の著者は、慶應通信での勉強を始め、大変な苦労をしながら、めでたく卒業していくまでを書き綴っています。いわゆる体験記なのですが、私もロンドン大学での勉強をしているので、このような通信大学の体験記は大変参考になります。そのため手に取ってみました。

学歴コンプレックス

著者は、早稲田大学を目指していましたが、夢叶わず、女子大を卒業しています。このことが大変なコンプレックスになり、慶應通信の卒業を目指すきっかけになったと正直に告白しています。学歴を変えたいという動機から通信教育を始めるということは非常によくわかります。私も、ロンドン大学を始めたのは、もちろん知識を体系的に蓄えたいという気持ちもありましたが、ロンドン大学のネームバリューに惹かれたというのは大いにありました。そんな動機を不純という方もいるかもしれませんが、実際に通信教育で学ばれている方からすれば、よくわかる気持ちではないかと思います。

通信教育を続けていく苦労

著者は、年限ぎりぎりの12年ほどかかって卒業されたそうですが、途中あきらめてしまって、ブランクが空いていたそうです。慶應通信のレポートが非常に厳しく、なかなか合格とならず、単位が集まらなかったようです。これもよくわかります。私もロンドン大学の勉強をしていますが、どうやったら試験で良いグレード(点数)が取れるのかわからず、試行錯誤、暗中模索の状態が続いていることは事実です。そんな中で、なかなか評価されないと、モチベーションが落ちてしまうことは理解できますし、モチベーションと現実の中で、やる気をいかに保つのかが至上命題になると思いました。

共に勉強をしていく友人

そんな中で、著者は「慶友会」という学生団体での友人たちと出会います。通信教育を進めていくことの苦労を分かち合ったり、勉強法のコツなどを話し合えることができたようです。私が特に印象に残ったのは、なかなかレポートの合格が得られず、(過去のレポートもまとめて)分厚いレポートを送ったりした友人の失敗談を共有して、著者も「自分だけではないんだ」と思うところです。通信教育は、どうしても一人で進めていくものです。私も試験結果がかんばくしくないときは、ロンドン大学の勉強をあきらめてしまいがちなのですが、自分だけが苦労しているわけではないという当たり前の事実を思い出し、再び頑張ろうと思えます。

同じ通信教育にチャレンジしている立場なので、自分の身に置き換えていろいろと考えることができる本でした。著者も、最初は学歴コンプレックスから始めた慶應通信も、いつの間にかそうした気持ちではなく、純粋に学問を続けること自体に意義を見出す方向にシフトしていきました。私も、そのような気持ちになっていきたいものです。読んでよかった本でした。