読書感想記「イノベーションへの解 利益ある成長に向けて」

沿って | 2020年10月3日

この本は、このブログでも紹介した「イノベーションのジレンマ」の続編にあたる本です。

前作では、破壊的イノベーションを分析しましたが、今作は、破壊的イノベーションを実践するにはどのようにしたらよいのか、現場の経営者に向けた本になっています。

それにしても、この本の著者である、クレイトン・クリステンセンとマイケル・レイナーの分析力の高さには脱帽します。ベンチャーやイノベーションの経営学上の論点は網羅され、それぞれが深い分析の上に成り立っているのです。前作で構築された精緻な理論を、経営の現実でどのように生かしていくのかの具体的な例が示されています。

例えば、「顧客の用事」「無市場への対抗」といった概念は、市場に参入するにあたって、これまでの常識にとらわれないことの重要性を教えてくれます。「自社製品の最高の顧客」という考え方も、企業が何を優先して経営すべきなのかの指針を与えるものだと思います。

前作は経営学上重要な足跡を残す名著でしたが、今作も、著者の理論を実践化する、非常に良い本でした。