読書感想記「企業戦略論 上・中・下巻」

沿って | 2020年11月20日

戦略論の名著

またまた経営学の本ですが、名著と言われMBAでも教科書として使用されている経営戦略についての本です。もともと原著は1冊の本だったのですが、大部になるということで、訳者(著者であるジェイ・バーニーの弟子)が3部作に編集し直したものです。

まず感じたのは、戦略論として必要な知識がきちんと網羅されていて、これを読んでおけば戦略論の知識がまんべんなく学べるなぁということです。経営学だけでなく、経済学的アプローチもふんだんに盛り込まれており、より定量的な考え方も学ぶことができました。

例えば、経営統合や多角化といった、企業にとっては常識的ともいえる概念について、学術的な分析を用いて、基礎から説明をしてくれています。

著者が強調しているのがVRIO分析というもので、V(価値)、R(希少性)、I(模倣可能性)、O(組織)の4つの要素で企業を分析するものです。現実に応用できるようになるためには、数回読んで自分のものにできなければなりませんが、明快な論理立てで、すっきりと読むことができました。

経営学に限らず、どんな分野でもそうだと思うのですが、読む価値のない本をたくさん読むより、多少苦しくとも、このような歯ごたえのある本を繰り返し読むことの方が大事だと思いました。翻訳も読みやすく、読んで良かった本でした。