読書感想記「企業変革力」

沿って | 2021年1月2日

コッター教授の名著

この本は、企業変革の重要性と、企業変革がどれほど困難であるのか、どのようにしたら達成できるのかを深く分析した本です。私自身は公務員ではありますが、それだけに、官僚制と呼ばれる組織の硬直さを日々痛感しています。そのため、経営組織論については強い関心を持っており、どのようにしたら企業や組織が変革するのかを知りたいと思い、この本を手にしました。著者のコッター教授は、企業変革論の第一人者ともいえる人で、若干古くはなりましたが国内外のMBAでも使用されてきた本です。読了後、社会人が読むべき必読の経営書の一つであると思いました。

企業を変革するには?

企業変革を成功させるためには8つものステップ(①危機意識の醸成、②連帯チームの形成、③ビジョンと戦略の策定、④ビジョンの周知徹底、⑤人材のエンパワーメント、⑥短期的成果の追及、⑦変革プロジェクトの更なる成功、⑧企業文化の定着)を踏む必要があるとしています。この本の素晴らしいところは、それぞれの過程でどのような取組が必要なのかを説明しているのはもちろんなのですが、そのステップを飛ばしてしまうとすべからく失敗することも深く分析しているところです。成功する組織は、8つのステップについて順を追って、辛抱強く達成していくことが証明されています。

自己啓発の重要性

著者は最後の章で、企業変革のために個人の生涯学習やキャリア・デベロップメントが、リーダーシップの形成のために極めて重要であるという指摘をしています。ロンドン大学で勉強している私にも、勇気づけられる記述でした。

やはり経営学の一級の名著ですね。繰り返し読んで自分のものとしたい内容が満載でした。若干誤字脱字がありましたが、翻訳もわかりやすかったです。