ロンドン大学 – 2021-22年度試験の新方式

沿って | 2022年6月13日

試験官の代わりとなるシステム

今年度のロンドン大学の試験では、Inspera Exam Portalというプラットフォームが新たに導入されました。これは、パソコンのマイクやカメラを利用して受験者の動きを監視し、試験官の代わりとなるシステムです。つまり、試験中もパソコンを開きっぱなしにするということです。過去2年では、open book assessmentということで、事実上教科書や参考書を使用してもいい試験になっていました。しかしながら、今年の試験では、このプラットフォームにより、closed book assessmentということで、より実際の試験に近づきました。

まずはダウンロード

まずは、大学からの指示に従い、アプリをダウンロードしました。アプリを稼働させるためにいろいろとOSやパソコンのスペックの指定があったようですが、日本に住む私たちが使用するようなパソコンはまず問題がないと言えましょう。

いつも思うのですが、日本や英国のような先進国だとこうした制約はないに等しいのでしょうが、ロンドン大学にはいわゆる発展途上国の生徒さんもたくさんいます。技術の進歩の中で仕方ないのかもしれませんが、世界中で学びの機会が失われないことを望みます。ちなみに、ロンドン大学の入学条件には、学歴や英語力の証明のほかに、こうしたパソコンのスペックも記載されています。

なお、今回は初期バージョンの配布の後、プラットフォームに問題があったようで、再配布されました。受験者のため、練習のための事前テストの機会もありました。それでも試験中は動作が不安定だったように思います。

試験に臨む

いよいよ試験です。学生IDとパスワードを入力し、事前に伝えられた試験コードを入力すると、プラットフォームが作動します。マイクのテストや、写真撮影、ID(私はパスポートを使用)撮影もありました。音声や画像は、ある程度の期間を置きながら継続的に作動するとのことでした。家庭でありがちなことですが、妻が部屋を整えてくれるために画面のフレームに入ってきてしまったり、携帯のSNSの通知音が鳴ったりと、ちょっとした微笑ましい(?)ハプニングもあり。しかしながら、試験官に悪印象を与えないか心配しました。

このシステムでは、今回で言えば数式やグラフを答案に書くミクロ経済学・マクロ経済学のように、ワープロソフトの使用が難しい科目は問題文だけが配布され、受験者はいつものように紙とペンで答案を書いて、スキャナーで読み込んだ答案の画像をプラットフォームから送信するやり方が一つ。民主主義と民主化のように、純然たる論述問題の場合は、システムの中にワープロソフトが入っており、そのまま答案を送信するやり方が一つと、分かれていました。

それにしても、プラットフォームが不安定で非常に困りました。写真撮影まで終わり、いよいよ試験というときに、システムがシャットダウンするのです。それも何回も。ミクロ経済学は特に不安定だった一方、民主主義と民主化は一発でした。受験者の多寡で変わるのかもしれません。試験時間がその分削られてしまうので、焦りがあり、改善すべき点かと思います。

小さいことだけれども微妙な問題として、試験問題は印刷不可です。数式を使う科目の場合、私は試験問題にも書き込みながらやりたいタイプなので、やりにくかったことは事実です。一方、論述型の試験は、ワープロソフトが使いやすく、文字カウントもきちんとしてくれていたので、スムーズでした。

試験が終了

試験が終了します。ミクロ経済学とマクロ経済学では、マイクを通じて、「今からスキャナーを使うため下階に行きます」と伝えました(別に大学側からそんな指示はなかったのですが、念のため)。ところが、マクロ経済学の答案をスキャナーに読み込ませようとしたら、なかなかうまくいきません。私の操作方法のミスだったのですが、そのため試験終了後30分以内に送付しなければならないという条件をオーバーしてしまいました。その点も若干不安です。

いずれにせよ、今年の3科目の試験はなんとか新プラットフォームを使いながら終了しました。試験会場のブリティッシュカウンシル(飯田橋)まで行かなくていいのは、正直楽ですね。試験開始時間は、日本時間17時からで、仕事との兼ね合いもやりやすかったです。

Inspera Exam Portalの試験前の画像